今年も盛り上がりました『鳴響pH:3.0』。
今回の露天風呂旧姥の湯への映像インスタレーションは
津軽出身の映像作家majioによるもの。
自炊棟とあわせて、メインの大広間では
東京食堂の金澤くん(同じく津軽衆)とのコンビネーションもバッチリで、『鳴響』は映像的にも温泉チルアウトシーンに新境地を切り拓くものだったのです。
森繁哉さんが『鳴響』がスタートしてから思いついたかのように
オープニングで神事の舞を踊ることに。
森さんは打ち合わせの段階の湯治で集まった時、
加美町での地域の講演で山形の古い神社に伝わる能狂言や
雪国に小正月に伝わる荒々しい祭を分析して
「伝統の再生」をテーマにレクチャーしていました。
森さんによるとすべて古い芸能には「神が降りる場」があり、
そこでは大人から若衆、子供や老人まで地域の全ての年齢層に役割が与えられている。
そうした場に行われる祭りや芸能はすべて「神遊び」としての側面を持っていて、
地域の神様と一緒に「遊ぶ」ことを通して
ちいさな子供も無茶な祭りを受け入れ、それを通して地域が一体化していく。
逆に言うと近代に神がいなくなってしまい、
地域の機能や絆といったものが失われていったという説明も出来るのかもしれません。
そう考えると、森さんの今回の踊りやオープニングは
やっぱり思いつきではなく森さんの確信犯だったと思えてならない(笑)。
そんな神が降りる場と化した姥の湯で、涼音堂の史上に燦然と輝くであろう
きら星のごときライヴがはじまりました。
Firoに続いてはCoupie。今回も大活躍。
そしてここでお待ちかね、佐藤民男さん登場。
お歳がお歳だけに、1時間インターバルをおいてのライヴ。
「大漁唄い込み」からはじまり、
次の回では「外山節」「秋の山歌」
と、今回は新曲ばかり3曲!!
最初は手拍子、こけしセッションでも大活躍だったjaiさんの
手弾きTR-808(笑)にFiroさんのサンプルが絡む。
「外山節」はCoupieのcobiさんのリードでシンプルに。
「秋の山歌」はいろのみのモチーフと合わせて素晴らしいものになりました。
いやー良かった。
そして今回はほんとうに素晴らしかったゲストの安田寿之さん。
『鳴響』がスタートしてからずっと呼びたかったのが安田さん。
彼なら鳴子温泉の異境ぶりを120%生かして東北的異空間に持って行けると思っていたのだ。
今まで見た彼のライヴの中でベストのものでした。一緒にやれて良かった!
自炊棟のお茶のみ部屋インスタレーションでも響き渡ってました。
そして岡崎さん/桜井さんをお招きしたこけしコンテストと続き、
コンテストの受賞者の方は岡崎さん、桜井さんの最近の会心作をゲットしていました。
いいなーー。
会場からも洩れる羨望の声(笑)
さらに椎名勇仁さんとのアーティストトークも交えながら
『鳴響』の夜は音もお湯も最高潮。
antennasiaがまた素晴らしかった。
そしてラストはいろのみ。神がかった今回の『鳴響』に相応しい(笑)
美しくしっとりとした締めになりました。いろのみは成長したほんとに。
思えばある意味みんな鳴子温泉に育てられてきたのかもしれません。
コードネーム「こけし七変化」と呼ばれていた
東京食堂によるインスタレーション作品。
白木のこけしをスクリーンとして
ジャストで投影した映像がまるで立体映像のように浮かび上がります。
素晴らしい。
『鳴響』も今回のpH3で、新しい次元に突入してしまった感があります。
ここからまた温泉チルアウトの新たな定義が必要になってきてる感もあり。
やりたいことはいっぱいで、先の展開にわくわくします。
いやー、いかがですか松下さん。